オセロをやっていると他のどんなものも意味がなくなり
ただただ、快楽を求めるが如く、女たちはオセロをやる。
楽しい。本当に楽しい。
子供の頃は気付かなかったけど、
こんなにも時間を忘れるほど楽しく快いものだったとは。

オセロ部合宿。
女の汗臭い匂いと香水の混じった異臭を放つ部屋。
西日が射してオレンジに染まった洗濯物のブラジャーとパンツ。
扇風機はじっと黙って顔を背け汗を掻いている。

そして細長く低いテーブルの上にはオセロ。
オセロの緑色の盤と、傍らに行儀良く並ぶ白黒の石。
そこだけが神聖な場所みたいにキレイに片付いている。

ある時、女が壺を見つけてしまった。
途端に壺に現実を突きつけられた。

「やべー、オセロなんかやってる場合じゃねぇ」

女は気付いた。

チョコより、タバコより、セックスよりも
そして、オセロよりも、壺が好きなんだ。
そうだ、壺こそ人生の伴侶だ。
自分でも驚いた。何故今まで気付かなかったのだ!

「え、もうオセロ辞めるってことですか?」
「部長、冗談はやめてくださいよ、まじで」
「大丈夫ですか?熱でもあるんじゃないですか?」

変人扱いされるのは目に見えている。
いかにして、あいつらに現実を判らせたらいいんだ!
壺を、理性を!




舞台正面。









Photo by Takuji Yamamoto

モドル

劇26.25団